本棚」カテゴリーアーカイブ

【おすすめ本】神鷲商人 ( 深田祐介 )

実在の人物をモデルとし、史実をベースに描かれた小説。

舞台はジャカルタ。
主な登場人物はスカルノ大統領とその第3夫人の日本人女性 ( あのデヴィ夫人がモデル )。戦後賠償という特殊な背景があるなかで出会ったスカルノ大統領・夫人・日本企業戦士が時に相手を巧みに利用しながら、時に人間的な感情を抱きながら展開する人間模様が描かれています。

灼熱の太陽のしたで進む工事現場の風景、スカルノ大統領が暮らす宮殿の爽やかな南国の光などが行間から浮かび上がり、近代化に動き始めたジャカルタという街の面白さも旅情を誘います。

上下本で登場人物も多いですが、するすると読めるのは作家さんの力量ですね。
どれが事実で、どれが創作なのか。そんなことを考えながら読むものまた面白い本です。

【おすすめ本】ボロブドールの建築 ( 千原大五郎 )

『南の島の古寺巡礼 アジア建築の歴史 』がジャワの寺院を中心としながらも他の東南アジア諸国の寺院遺跡も全体的に紹介した概要本なのに対し、こちらはボロブドゥール寺院のみに焦点を当てた専門書です。
所々、建築学の専門用語なども出てきますが全体的にとても読みやすいです。

題名に「建築」と入っていますが、内容は建築だけではなく歴史やレリーフの紹介もされています。
1970年刊行。著者はこの本を書いた時にはすでにユネスコからボロブドゥール寺院の修復工事に専門家として携わるよう依頼を受けており、この後ももっと深くボロブドゥール寺院に関わってゆきます。
大掛かりな修復工事前の “ ボロブドゥール寺院の頽廃の美 ” が感じられる、当時の写真が多数掲載されており、それだけでも貴重な本だと言えます。

【おすすめ本】南の国の古寺巡礼 アジア建築の歴史 ( 千原大五郎 )

著者は東洋建築史専門の建築士。
戦時中はバンドン工科大学の教授を、1972年からはユネスコの招聘に応じてボロブドゥール遺跡修復技術諮問委員会委員を務め、アジアの中でも特にこのジャワ島の寺院に縁の強い方です。

この本はインドネシア ( ジャワ島・バリ島・スマトラ島 ) だけではなく、インド・スリランカ・ミャンマー・タイ・ベトナム・カンボジアの遺跡調査旅行の記録と各地の遺跡を体系的に比較して記した本です。専門書ではありますが、小難しい専門用語はほとんど出てこず、すごく読みやすいです。

また、やはりジャワ島に造詣が最も深い著者のことですから、ボロブドゥール寺院のみならず、ディエン高原のヒンドゥー教寺院群、プランバナン平原の諸寺院、マランやクディリなど東ジャワにある遺跡などなど、ガイドブックに載っていない寺院がたくさん登場します。

旅行記でもあり、歴史本でもあり、学術書でもあるこの本。遺跡への旅情をかきたてる一冊です!

この著者がボロブドゥール寺院に特化して書いた本『ボロブドールの建築』もあります。

【おすすめ本】ジャワ更紗 ( 伊藤ふさ美・小笠原小枝 )

こちらに住んで1年半ほど経ったころに急に「バティックについて勉強しよう!」と思い立ち、ネットでバティック関連の本を数冊入手しました。

その中で一番よかったのがこの本です。

コンパクトかつ包括的にうまくまとめられているし、写真も多用されているので、初心者にはバティック入門ブックとして最適です。

 

【おすすめ本】ボロブドゥール遺跡・ジャワ島 海のシルクロードで栄えたインドネシア王朝 ( 旅名人編集室 )

マニアックな人が作った、マニアックな人のための、マニアックな本です。
ジャワ島全土の遺跡や文化を掘り下げて詳しく書かれていて、読み応えあり。
きれいな写真が使われているのもポイント高し。

これを作った出版会社は儲け度外視の骨太の会社なんだろうな~。

今から10年以上前に出版された本なのでホテルや観光地入場料の価格などは変わってしまっていますが、ジャワ島だけをじっくり回ろうという旅人には、その辺のガイドブックよりもよっぽど役立つこと間違いなし!

【おすすめ本】火の島 ジャワ・バリ島の記 ( 阿部知二 )

作者は軍属の報道員としてジャワに入り、日本軍政下で9ヶ月ほど滞在し、ジャワとバリを巡りました。
その体験を書いたのがこの本です。

戦中に発表された文章なので、「ん?」と違和感のある表現があるのは否めませんが、当時のジャワの風土や人々の様子の一端が紹介されていて面白いです。

現在のジャワはわりと親日的で、「日本軍は酷かった」と声を大にして言う人はほとんどいませんが、戦中に日本軍がジャワで何をして、何をしなかったのかということは日本人として知っておいた方がいいのは確かです。そういう意味では、この本は軍政下に日本軍の指令を受けた作者がリアルタイムで書いたものなので、とても貴重な資料と言えると思います。

【おすすめ本】わたしの旅に何をする。 ( 宮田珠己 )

この本の中に「ボロブドゥールで静かなブームを呼んだこと」というエッセイがあります。たった5ページの短い、でもくすっと笑える好エッセイです。

著者がボロブドゥールを旅したのは少し前のことだと思いますが、そのころとボロブドゥールは今もあまり変わっていないのかもしれません。
なぜならエッセイの中で書かれていることは今でも同じように起こりますから。私が初めてボロブドゥール来た時にも同じことがありましたし、ついこの前一人旅に来た方にも起きたと聞きました。

このエッセイは旅の前、旅の最中だけではなく、旅が終わった後に読んでも、「そう、そう、そう、そう!」と共感できると思いますのでぜひ!

【おすすめ本】アジア古都物語 ジョグジャカルタ ( NHK )

2002年にNHKで全6回シリーズでアジアの古都をピックアップした番組が放送されました。
その第3回がジョグジャカルタ。この本はその番組を書籍化したものです。

ジョグジャカルタをジョグジャカルタたらしめた「スルタン」という存在にスポットを当てた、地味だけど、とてもしっかりした内容の本です。
もしクラトンタマンサリを訪れる予定があるのなら読んでみてください。きっと、ただただ漫然と見学するだけとはちがい、「ああ、これが本の中で紹介されていたんだなー」なんて楽しめるはずです。

ちなみにこのアジア古都物語、他の5ヶ所は北京・ベナレス・カトマンズ・イスファハン・京都。
残念ながら、他の5ヶ所と並べるとジョグジャカルタは知名度も歴史の長さも著しく後れを取っていますが、それでもジョグジャカルタにスポットを当てたNHK。
「さすがNHK!ありがとう」と言わせていただきます。

【おすすめ本】マレー蘭印紀行 ( 金子光晴 )

根っからの根なし草で大正から昭和にかけてアジアやヨーロッパを旅し、独特の作品を発表し続けた詩人・金子光晴。

この本には彼が昭和初期に、当時 ” 蘭印 ( オランダ領東インド ) ” と呼ばれていたジャワを旅した時の紀行文が収録されています。

金子光晴しか紡ぎえない言葉たちが散りばめられ、当時の熱帯地方の倦怠感・厭世感にどっぷりと浸ることができる一冊です。

金子光晴が見たジャワ。吸い込まれて二度と戻って来れないような奥深さがちょっと怖いけど、一度体験してみたいなあと読むたびに思います。

【おすすめ本】ボロブドゥル ( 池尻 進 )

この本はボロブドゥールに魅せられた作者の情熱の結晶です。
それも、とても純度の高い結晶です。

” ボロブドゥール ” という名前の語源やボロブドゥール寺院の建築構造・歴史、そして第一回廊の釈迦の生涯が描かれたレリーフを写真の紹介などボロブドゥール寺院のすべてを詳しく深く説明しています。
学術的すぎてチンプンカンプンな部分もあるのですが、ボロブドゥール寺院をより深く知るための最高のガイドブックです。

ボロブドゥール寺院をじっくりと見学する予定の方はぜひこの本を片手に訪れてみてください。

一番最初に収録されている「南海に国あり。名付けてジャヴァと言う」から始まる大谷光瑞寄稿の文章も一読の価値あり。