インドネシア地方都市での歯科体験

2021年9月5日

6年前に日本で処置をした右奥歯の詰め物がグラグラし始めたのが月曜日。すぐにでも歯医者に行くべき状態にもかかわらず、諸事情によりなかなか時間を取れず、仕方なく普段噛む習慣のない左側で噛んでいたら、左下の親知らずが炎症し、眠れないほど痛みがひどくなったので、パートナーにお願いして金曜日の夜に歯医者に連れて行ってもらいました。インドネシアに移住して早5年半。初の歯医者体験です。

正直、インドネシアの片田舎の歯医者ってどんなんなんだろう…設備面でも衛生面でも日本のレベルは求めてはいけないんだろうなー。パートナー曰く「歯が痛い=歯根がやられてるから、歯医者は治療よりも抜歯を勧めてくる」とのこと。歯医者に行かないでいいように今まで口腔ケアはしっかりしてたつもりだったのにな…行きたくないな…と偏見に満ちた暗い気持ちで、隣町の歯医者へ。

インドネシアで歯科は、大まかに分けると以下3パターン。
①大規模な総合病院 ( 診療時間は朝から午後。予約制。虫歯治療からインプラントまでできるところが多い )
②小〜中規模のクリニック ( 診療時間は朝から午後。複数の医者が順番で診察。予約制が多い。虫歯治療・矯正治療・ホワイトニングを専門でするところもあればトータルでできるところもあり ) ③上記①②で勤務医として働いている医者が自宅で開業している診療所 ( 診療時間は早朝や夕方以降。予約不可。虫歯治療のみのところがほとんど )

今回行ったのは③診療所です ( ボロブドゥール周辺には③しかない )。自宅の一部屋を診察していて先生と助手1名。名前を聞かれることも、カルテを作られることもなく、屋外の待合所で待ち、順番が来たら入室。小さな部屋に診察台が1台とデスクが1つのみ。新しくはないのでしょうが、ちゃんと手入れはされているようで一安心。そのまま診察台へ。医者は初老の男性。口を開けると問題の箇所はこちらが指摘しなくてもすぐにわかってもらえました。が、親知らずの炎症は薬治療、詰め物が取れかかっている歯はここでは十分な機材がないので治療不可、別の診療所へ行けとのこと。ここでは薬治療か抜歯しか対応していないそうです。詰め物が取れかかっている歯も、歯自体は問題なさそうなので抜歯するのはおすすめしないとはっきり言ってくれたのはよかったです。先生から別の診療所を教えてもらい、炎症用の薬を受け取り終了。わずか10分。ちなみに治療費と薬代でたったの Rp 50,000。

別の診療所はマグラン市の中心部。急いで車を走らせ、受付終了時間ギリギリに滑り込み。ここも同じく先生1名と助手1名のみ。先生は初老というよりすでにだいぶお年。しかも防護服にガスマスク着用。先生が何を言っているのかほとんど聞き取れず(笑)。先ほどの診療所での経緯を説明し、診察台へ。ここの診察台は日本の歯医者にあるものに近いものでした。なんの説明もなく、治療が着々と進みます。水を噴射する器具から水がダダ漏れで服が濡れる(笑)。先生はそんなこと全然お構いなしなので、私も気にせず。先生の手慣れた手つきに任せて大丈夫だと思いました。約30分で治療は終了。詰め物を完全に除去し、薬を塗り、簡易カバーを装着。この状態でしばらく様子を見るので3日後にまた来てとのこと。先生によると、歯の一部が割れていたので詰め物と一緒に除去したとのこと。舌で触ってみると、歯が三日月状にしか残っていないのがわかりました。ちなみに、炎症している親知らずは、詰め物の歯を処置したことで落ち着いてくると思うから、先の診療所でもらった薬の服用はしばらく待てとのこと。治療費は Rp 300,000でした。

3日後、三日月型の歯はまったく痛みもせず、親知らずの炎症も完治していないものの随分と痛みも腫れも引きました。この日は簡易カバーをはがし、きちんと詰め物をしてもらいました。約40分間、口を開けっ放し。そして今回も漏れてくる水でだいぶ濡れました(笑)。三日月型の歯をもとの歯の形にするのかなと思っていたら、患部を覆うように詰めただけなので、三日月型のまま。違和感すごい。まあでも噛む分には問題ないし、この方法の方が詰め物が剥がれる可能性も低いような気がするし、まあいっか。今回の治療費は Rp 400,000でした。

ということで、インドネシアに移住するにあたり、一番ハードルが高いだろうなと思っていた歯医者、クリアです。どちらの医者もきちんと診てくれるのがわかったし、私が期待するレベルの治療が受けられるとわかったのはとても大きな収穫でした。