2016年末に1人目、2020年コロナ禍のなか2人目を出産しました。
「こっちで産んだの!?」と日本からのお客様には驚かれることもありますが、日本で妊娠・出産の経験がない私にとっては比べようもなく、こちらの設備・制度もまあこんなもんか…という感じで、パートナーや義姉・義母、ベビーシッターなど頼れるものには最大限頼りつつ、てんやわんやのマタニティ&子育てライフです。
妊娠検査薬
こちらでも薬局で妊娠検査薬が売られており、手軽に自分でチェックすることができます。妊娠検査薬には日本で一般的な体温計型のものもありますが、もっと安価で同じ機能があるのはリトマス紙型の簡易版 ( Rp 23,000 )。妊娠5週以降で使用すること可能。ちなみに初診時には妊娠検査薬で検査済みかどうか聞かれます。
産院・妊婦健診
日本と同様、自宅出産から総合病院の産科まで選べるようになっています。
私は2回とも自宅から車で30分ほどの場所にある産科・婦人科・小児科複合のクリニックに通っていました。
外来に行く前に毎回電話で予約をし、時間を見計らって行っても1時間ほど待ちます。妊娠に問題がなければ検診は1か月に1回。こちらでは一人で来る妊婦さんは稀。たいていパートナーやお母さんやそのほかの家族が揃って検診に来ています。
受付で血圧と体重測定があり、診察は土地柄か初診から内診や触診はせず、問診と経腹エコー検診のみ。エコーは毎回あり、別料金で4Dエコーもしてくれます。胎児の性別も判断できた段階で教えてくれます。また必要な栄養素を摂取するため、毎回ビタミン剤数種が処方されます。
診察料は100%自己負担なので、毎回日本円で5,000円~8,000円ほどかかります(泣)。
このクリニックでは有料ですがパパママ教室やマタニティーヨガクラスも開催しています。
出産は自然分娩と帝王切開。選択肢がある妊婦さんは好きなほうを選べるみたいで、私もどちらにするか聞かれました。無痛分娩は、私が調べた限りジョグジャカルタやボロブドゥールで取り扱っている病院はありませんでした。
妊娠生活
病院で処方されるビタミン剤のほか、妊婦向けの粉末ミルクがコンビニやスーパーで販売されています。メーカーも何社かあり、妊娠初期から妊娠中期用、妊娠後期用、産後用と種類もいろいろ。
産休は日本ほど制度化されていないようで、妊娠後すぐに休む人もいれば、大きなおなかで立ち仕事をしていたりと様々。自営業の私は自分で調整していますが、あるホテルのマーケティング部で働いている知り合いは出産1か月前から産後1か月のたった2か月しか休まなかったそうです。
出産
1人目のときの体験談 : 自然分娩
クリニックからは陣痛がきた時点で病院に来るように言われていたので電話なしで直行。病院に到着するといきなり分娩台に通され、出産までずっと分娩台で過ごしました。胎児の心音計測器をお腹に巻かれ、助産師さんが数人ついてくれていたようです。いったん落ち着いたところで分娩着に着替え、トイレに行き、分娩台で食事 ( 食事はとても美味しく、偏食の私に合わせたメニューを用意してくれました )。出産が佳境に入ると酸素マスクを装着。
インドネシアの決まりなのか、このクリニックの決まりなのかわかりませんが、出産が順調でも必ず医師が立ち会わないといけないようで、最後の1時間は出てこようとする息子を助産師さんが押さえこむ形に ( 主治医はクリスマス休暇で日本に遊びに行っており、ピンチヒッターの先生が来るのを待っていました 笑 )。
無事出産後、会陰縫合中には息子をカンガルーケアさせてくれました。私は1時間ほど分娩台に残り、息子は新生児室へ。
ちなみに分娩室への立ち入りは自由で、パートナーはそのままの服で勝手に出入りしてましたし、カーテンで仕切っただけの隣の分娩台に別の妊婦さんが入ってたり ( 後から聞くとその妊婦さんは帝王切開だったとか。その場で手術したのか別に手術室があるのかは覚えてませんが、後者であることを祈る ) 。持って入れるものも自由で私は自分のスマホを無意識のうちに持ち込んでおり、陣痛が引いた際に入った関係先からの電話に出ました。衛生的にどうなの!?と今では思いますが、当時は必死 & 意識朦朧で、足下を知らない人が通ろうが、断末魔を初対面の妊婦さんとその家族に聞かれようが、そんなことはどうでもいい状態でまったく気になりませんでした (笑)。
新生児室はさすがに立入禁止。NICUはこのクリニックにはないようで保育器は新生児室かナースステーションに置かれ看護士さんたちが赤ちゃんのケアをしていました。
病室はすべて個室。料金別にランクがあります。どのランクでも家族も宿泊OKなので、その日はパートナーとお義姉さんも宿泊。
翌日の朝に息子が連れてこられ、一瞬だけ対面。昼すぎに先生が来て、私の身体をチェックし、母子ともに健康なので退院が決定。
ちなみに1泊2日の出産で日本円で6万ほどかかりました。こちらでもへその緒を保存する習慣があります。また胎盤を素焼きの壺に入れて土に埋めるという習慣もあります。なので、へその緒と胎盤を抱えての退院でした。
2人目のときの体験談 : 帝王切開
2人目も自然分娩で産むつもりでいたところ、臨月の検診でへその緒が首に3回も絡まっているので帝王切開にせざるを得ないと言われ、コロナ禍&断食月明けの休暇期間に帝王切開で分娩することになりました。
日本でも同じような状況だったと思いますが、コロナのために付添人は1名のみ、子どもは病院に立入禁止ということで、急遽長男を義姉一家に預けることになりました。
手術当日の朝に最終検診と抗原検査を受け、お昼に個室に入り、午後イチで手術。ちなみに絶食の指示は無し。手術前にほとんど説明なし&読む時間なしで大量の書類にサインさせられたのが若干恐怖でした(笑)。
手術はものの15分ほどで終了し、早々に個室に戻ると、生まれたばかりの子を部屋に連れてきてくれました。コロナ対策だったのかもしれませんが、以降退院まで母子同室でした。
病院食は毎食上げ膳据え膳、いきなり白米と油や唐辛子たっぷりのおかず…病院食というより普通の食事です。看護師さんは1日に何度か私と子のお世話に来てくれました。
こちらでは帝王切開でも基本的には2泊3日。正直、産後数日で歩くのは、かなりの勇気が要りました。傷に塗る薬やら痛み止めやらビタミン剤やら大量の薬をもらってヨロヨロのまま退院しました。
今回の出産でかかった費用は20万円ほど。臍帯と胎盤は産後すぐに夫に渡され、夫が慣習に則り自宅の敷地内に埋めました。
産後
母子ともに健康なら早々に病院から出、あとは家族でケアするのがインドネシア式。
私も一人目出産後は息子とともに約2か月、義姉宅でお世話になりました。
ジャワの慣習でお母さんは産後40日は安静に、ということで家事はしないどころか、産婆さんからマッサージを受け、産後向けのジャムゥを飲み塗る毎日。息子も沐浴と新生児用のマッサージを受ける日々が続きます。新生児期は手足がまっすぐ伸びるようにと布でぐるぐる巻きにします ( 個人的には暑そうだし、自由に手足を動かせるほうが快適なのでは…と思いましたが )。
私の子ども2人とも生後8日ごろに新生児黄疸の症状があり、近くの小児病院で1泊2日の光線治療を行いました。この1泊2日の入院時には私も病院に泊まりました。治療費と入院費で日本円で1万円くらいかかりました。
私は産後2週間後に出産したクリニックで検診があり ( この検診も問診とエコーのみ )、息子は生後1か月後に検診がありました ( この後も1歳になるまで1か月に1回検診と予防接種 )。
ちなみに子どもはインドネシアと日本の2重国籍です。インドネシアの方は役所と入国管理局に出生届を提出。日本の方は出生後3か月以内に出生届を在インドネシア大使館または領事館に提出。出生届提出の段階で希望すればインドネシア名とは別の日本名での登録も可能なので、私の子どもはインドネシア名と日本名の2つを持っています。
日本の法律では20歳の時点でどちらの国籍にするか本人が決めることになっていますが、インドネシアの法律では17歳で決めることになります。
子育て
こちらではワンオペ育児状態になる家庭は稀だと言えます。大家族で住んでいたり、ベビーシッターや家政婦を比較的雇いやすいからです。
うちは核家族ですが、長男が3ヶ月のときから通いのベビーシッターさんに来てもらっています。
赤ちゃんのお世話に必要なベビー用品はコンビニやスーパーでたくさん売られています。紙おむつは日本のメーカーのものもあります ( が、布おむつを使う家庭が多いようです )。
離乳食は6ヶ月ごろからとされているのは日本と同じ。インスタントの離乳食のほか、朝には大通りでベビー用のおかゆが売られていることもあります。
いわゆる育児書というのはほとんどなく、また、産院で赤ちゃんのお世話の仕方を手取り足取り教えてくれることもないので、祖母・母から育児のイロハを学ぶのが一般的です。子どもが多い社会だからか、大人は子どもに優しく寛容。子どもが多少騒ごうが泣こうがイライラを表に出す人はおらず、相手をしてくれる人が現れるのが常です。
一般的に3~4歳から幼稚園に通います。学校は7月開始。入学に関する手続関係はパートナーに一任していますが、少なくてもこちらでは待機児童問題はないようです。
産児制限
中国のような厳格な産児制限はありませんが、国は「子どもは2人までが良い」と推奨しています ( 3人目が生まれても戸籍登録はできますし、学校にも病院にも通えます。罰金はありません )。今でも村の入口などには画像のようなモニュメント(?)があったり、広告用に描かれる家族像は必ず夫婦と子ども2人だったりします。
アキカー Aqiqah
イスラムの習慣なので、すべての家庭が行うわけではないですが、誕生7日後に子の健やかな成長を祈念し、ヤギを捌いて調理し、隣近所に配るという習慣があります。子が男の子ならヤギ2匹、女の子ならヤギ1匹が基本。
正式なものをやろうとすると人手も費用も必要な儀式なので、今では簡易化し専門のケータリング業者などもいます。