私の場合、「歳を取ったな〜」と実感するのは、鏡で自分の顔を見たときではなく、疲れて起きられない朝でもなく、筋肉痛が3日後に来たときでもありません。いつかというと、旅をしているときです。
昔は、バスや電車が大好きでした。快適性は二の次で「どれだけローカルか」が選ぶ基準でした。ホテルもお湯シャワーと清潔なベッドさえあれば、部屋の広さとかインテリアとかデスクの有無とか気にしたこともなかった。
食事だって外で食べるのが当たり前でルームサービスやホテルのレストランで食べるなんて選択肢にすらなかった。自分はずっとそんな旅をするんだろうと漠然と思ってました。
でも20代後半から少しずつ変わってきたんです。
まず最初に泊まる場所にこだわるようになりました。インテリアや外観がその土地を感じられる凝ったところがいい。名前が綺麗なところがいい。広いところがいい。テラスのある部屋がいい。デスクがある部屋がいい。ホテルを選ぶようになると、ホテルで過ごす時間が増えました。少し前は朝から深夜まで外で過ごしていたのに。
30を過ぎると移動方法です。長距離では最初に飛行機を探すようになり、短距離はタクシーや車のチャーターを使うことも増えました。
そして最近は食事。外出が面倒なときはホテルのレストランや部屋で済ますことが出てきました。
先日、ほかに選択肢がなく、仕方なく乗合バスで長距離移動をしたのですが、ワクワクするよりも憂鬱になっている自分自身に気がついてびっくりしました。少し前まではこんな汗くさい旅が何よりも好きだったのに。
自分では変わっていないつもりでも、旅をすると自分がすごく変わっていることがわかります。
そして必ず「ああ、あのときあの旅ができて本当に良かった」としみじみと感じるんです。今の自分にはもうあんな旅は体力的にも精神的にもできないと思うから。
きっとこれからさらに歳を重ねるごとに、私の旅のスタイルは変わっていくんだと思います。であれば、今自分がいいと思う旅を今のうちに存分に楽しみたいなと思ってます。
そして40歳、50歳、60歳、70歳の自分はどんな旅をするんだろうと今から楽しみにしています。