義姉夫婦、メッカ巡礼へ

インドネシアを発って3日目、義姉、念願のカアバ聖殿へ。感涙しています。

2022年6月29日

インドネシアで「行きたい国」アンケートを取ると常に1位2位につけるのが ” サウジアラビア ”。
” 観光で ” ではなく、” メッカ巡礼に ” ということで。
多くのムスリム・ムスリマインドネシア人にとって、メッカ巡礼は単なる旅ではなく人生の一大イベントです。

インドネシアではメッカ巡礼のことを ” ハジ Haji ” と呼び、一種の国家事業 ( それも金の成る事業 ) になっています。
今年2022年はここ数年でもっとも多くのHajiが行われるため、ガルーダインドネシア航空の機材がほとんどサウジアラビア行に使われており、インドネシアと日本を含めたその他の国との路線再開に大きく影響しているとのこと。テレビでもHajiの悲喜こもごもがよく報道されています。

Hajiは、飛行機・宿・食事・バスがすべて込のオールインクルーシブツアーで40日間。常に団体行動。個人ではいけません ( …正確には個人でもサウジアラビアには行けますが、Hajiとはみなされません )。Hajiは限られた人数枠に対し希望者が多いため、申し込んでから数年~数十年待たなければなりません。Hajiを済ませた人は、帰国後、名前の前に男性は ”H”、女性は ”Hj ”と付けられます。

この度、義姉夫婦が申し込んでから10年間待ち続け、ようやくHajiに参加できることになりました。義姉によると、ツアー費用は1人あたり35万円くらいだったそう。オールインクルーシブとは言え、インドネシアの物価からいうとすごい額です。
義姉が入る団体は合計730名 ( 大所帯!ですが、これが標準サイズだそうです )。ジャカルタでもスマランでもジョグジャカルタでもなく、なんともっとローカルなソロからサウジアラビアへ直行便が出るそうです。

他の地域ではどうかわかりませんが、中部ジャワでは一般的にHajiに出る前に親戚近所一同が挨拶に訪れます。そして、特に近親者はバスが出るところまで見送ります。
わたしたち一家も義姉を見送るため、前日に義姉宅があるウォノソボに行き、一晩みんなで過ごし、翌朝5時に集合場所へ行きました。集合場所は町の市役所。周辺は交通規制が敷かれており、専用ステッカーを貼った車しか出入りできないようになっています。集合場所の市役所に入れるのは参加者と参加者1名につき見送り1名のみ。ということで、わたしたちは義姉が乗ったバスが出てくるのをすぐ横の広場で待ちました、出発時間の朝7時まで。
広場には、わたしたちのようなバスの出待ちがたくさんいて、食べ物やおもちゃのお店があったり、即席プレイグラウンドがあったり。一方でモーニングルーティンでジョギングやウォーキングや体操をしている人たちがいたり…とかなりカオスな状態。夜明け後の爽快な空気はいずこへ、なんか朝からディープ100%な世界でした。
子どもたちを即席プレイグラウンドへ入れて遊ばせ、パートナーは近くでうたた寝、わたしはウォノソボ名物のナシ・メゴノをテイクアウトしてカオスを眺めながら朝食。これはこれで、なかなかよかったです。
予定どおり、朝7時に義姉夫婦は無事出発。合計バス6台、パトカーの先導付きでした。広場にいた何百人が一斉に同じ方向に手を振るさまは、なんかすごい光景で、わたしも自然と手を振っていました。

インドネシアの中流階級層の増加に伴い、Haji熱はますます高まる一方。今、申し込みをすると出発は30年後とも言われています。
いつになるか分からない、というより本当に行けるのかわからない遠い未来の旅を予約するってロマン。信心薄いわたしにはHajiのありがたみはピンとこないというが本音ですが、その場所に立つことを夢に見、実際にその場所に立てば感動で打ち震え涙し、何度も何度も思い返す旅があるというのはとてもいいことだなと思います。

お義姉さん、いってらっしゃい。気を付けて、良い旅を!