チャンディ Candi とは、インドネシア語で「寺院」の意。基本的に古代の寺院に使う言葉で、仏教寺院でもヒンドゥー教寺院もすべて ” チャンディ ” をつけます。
今日は朝から夕方までプランバナン一帯のチャンディ詣に行ってきました。この辺りはボロブドゥール周辺よりも寺院遺跡が多く遺されていているんです。立派に修繕され寺院の形式を保っているところあり、打ち捨てられたように瓦礫だけがひっそりと残っているところあり。
計10か所の寺院・遺跡をぐるり。
( ソジワン寺院、ガネーシャ像、ミリ寺院、バロン寺院、ダワンサリ寺院、バニュニボ寺院、イジョ寺院、グポロ像、セントノ洞窟、アバン寺院 )
寺院詣の後は、空港近くの駅・マグウォ Maguwo駅から列車に乗ってマリオボロの中央駅・トゥグ Tugu駅まで移動し、マリオボロの ” なんちゃってチャンディ ” ドノティルト浴場を見、足マッサージを受け、最後にソノブドヨ博物館の影絵人形ショーを見てフィニッシュ。
小旅行気分を味わおうと自宅からプランバナンまではローカルバスを乗り継ぎ、そこからはオンラインバイクタクシーで行こうと思い、パートナーにもそう宣言していたのですが、今朝になって自宅から車で行くことになりました。自由気ままな1人旅が潰れて内心ちょっと残念だったのですが、結果的には車で大正解。寺院・遺跡がある場所は辺鄙すぎてオンラインタクシーどころか人すらいませんでした。
9:00すぎにボロブドゥールを出発し、10:30すぎに最初のチャンディ、ソジワン寺院に到着。寺院遺跡集中エリアなので、以降はほとんど5分から15分ほどのドライブで次々に回って行きました。
ソジワン寺院
きれいに整地・整備されており、ほどんど知られていない存在ながら、きちんと管理されているんだなという印象のお寺です。
インドネシア人数人が観光に来ていました。
寺院に関する説明パネルや修復工事中の写真も豊富にあります。
ストゥーパや首のない仏像なども置かれており、パネル説明にあったように寺院基壇部分の動物が登場するレリーフもなかなか面白かったです。
ガネーシャ像
ソジワン寺院から丘を上り、目印もほとんどないところをグーグルマップを頼りにノロノロ運転。
車道からすこし下に降りる土道を降りたところに出てきたのが、おなかと足しか残っていないガネーシャ像です。
像の周りにはフェンスがあり、カギがかかっているので像に近づくことはできず。
造りを見ても荒い感じがしますが、素人のわたしでもこれがガネーシャって解るのはなんでだろう?おなかの出方や足の組み方がプランバナン寺院 ( ロロ・ジョングラン寺院 ) にあるガネーシャを彷彿とさせるからでしょうか?
パネルもなーんにもなく、この像1体だけがぽつんと煌々と照る太陽の下に佇んでいる様は一種の迫力と凄みがありました。
ミリ寺院
ガネーシャ像から急勾配の道路を上れるだけ車で上がり、もう車では行けないというところまで来たら車を路駐して、炎天下のなか徒歩。まったく看板も何もなく、グーグルマップでは目の前に見える丘のてっぺんにあるらしいので、それを信じてひたすらカラカラに乾いた丘を上りました。
ようやく着いた先にはちょっとした広場になっていて、その中心に寺院基壇部分だと辛うじて判別できる瓦礫があり、その横にヨニが置かれているのみ。フェンスも説明パネルもない。私が見てきた寺院のなかで最も荒廃度の高い寺院でした。
帰りは気づかないうちに違うルートから丘を下ってしまったみたいで、民家に紛れ込んでしまい、車を探すのに一苦労しました。
バロン寺院
ミリ寺院から車ですこし山を下った場所にある寺院。ミリ寺院の荒廃ぶりとは対照的にとてもきれいに整備されています。
イジョ寺院と同じく広い敷地が3層のテラス式に分けられており、一番上のテラスに2つのお堂が並んでいて、ほかの寺院に比べ面白い構成の寺院です。2つの寺院の窓上部にはすごく立体的なバロン ( カーラ ) が!ほかの寺院の平面的なカーラに比べ、表情豊かに彫られておりユニークです。
ダワンサリ寺院
バロン寺院の駐車場のすぐ横にあるので徒歩移動。
林が切り開かれた一部分に、かつて寺院の一部だったブロックが散在しています。ブロックは大きな円形に並んでいて、ほかの寺院とはちがいます。
荒廃具合でいうとミリ寺院と同じようにほとんど手つかずの状態に見えますが、ミリ寺院と決定的に違うのはびっしりと書かれた説明パネルがちゃんと設けられていたこと。説明によると、ここには伽藍ではなくストゥーパがあったようです。
バニュニボ寺院
この寺院、実はバロン寺院から眼下に見ることができます。上から見る限りでもきれいな寺院だなという印象でしたが、行ってみるととても優美な寺院でした。
ほかの寺院に比べ、どっしりとしており、屋根の部分の曲線が美しいを通して艶めかしい雰囲気さえ醸し出しています。
説明パネルによると本堂の壁には繁栄・富を具現する女神や鬼子母神が描かれているとのことで、「はぁーなるほど、だから寺院そのものも女性っぽく柔らかい雰囲気なのか!」と納得しました。
イジョ寺院
イジョ寺院へは急勾配の坂道を行きます。プランバナン平原を見下ろせる絶好のロケーションにあることから最近とみに夕日の名所として人気を集めている場所です。
” イジョ ” とはジャワ語で「緑色」という意味ですが、別に寺院自体が緑色をしているからではなく、ほかの寺院と同じく安山岩で造られています。下から上にテラス状になっていて伽藍が点在しています。
今回は昼下がりの訪問でしたが、一番上のテラスから見るプランバナン平原とムラピ山の景色は絶景です。
グポロ像
イジョ寺院から丘を下る途中にあり。車で入れるのは小さな看板が出てくるところまで。
看板から林の中をすこし下るとフェンスに囲まれた粗削りな石像4体が現れます。1体は立像で一番状態が良く、ほかの3体は座像。座像のうち2体は首なしです。
遺跡名を記した看板も説明パネルもなく、荒涼としていますが、ガネーシャ像と同じく荒廃したなかに迫力が宿っているように思えました。
セントノ洞窟
ここは今回訪れた10か所のなかで最も印象深かった場所。
大岩の側面に3つの窟を削り、その窟の中に神々の彫刻やリンガ・ヨニを模った岩が安置されています。
窟の形も彫刻もリンガやヨニの像も手彫り感満載で技術的に高いものではないけれど、むき出しの自然の岩に削られた神々が原始的かつ密教的な雰囲気を強く醸し出していて、それがかえってこの場所の宗教色を濃くしているように思えました。
アバン寺院
地理的にはセントノ洞窟の裏側がアバン寺院。
” チャンディ ” と名付けられてはいるけれど、寺院っぽさも廃墟っぽさも全くなく、なだらかな小山のところどころに赤煉瓦が出土しているのみ。
「なんか、牛とか羊とかが似合う場所だな~。っていうか、最初に見た人、よくこれが寺院だと判ったな」という感想が出てきた、牧歌的な場所でした。
この後はアジスチプト空港まで送ってもらい、いざ一人時間開始。
マグウォ駅から近郊列車で2駅分の列車の旅 ( 切符はRp 30,000、当日購入 ) でジョグジャカルタ中心部へ。駅から約10分ほど歩き、ドノティルト浴場へ。
実はこのドノティルト浴場、インドネシア名では ” Candi Donotirto “。そう、チャンディって付いてるんです!「昔は本物のチャンディがあったんだよ」とかいう答えを期待して、浴場の入口でいたベチャのおじさんになんでチャンディと付いているのか聞いたところ、「見た目がヒンドゥー教の寺院っぽいから地元の人がチャンディと呼び出した」そうです (笑)。
ベチャのおじさんが「中も見ていきな!」と言ってくれたので入ってみると、洗濯物を洗っている人あり、半裸で沐浴している人あり。「女性でもこんな青空浴場で水浴びするんだ!」とすごいインパクトを受けました。
その後は、大衆マッサージ店 kakikuで足をマッサージしてもらい、軽い夕食をとり、ソノブドヨ博物館の影絵芝居ショーを30分ほど軽く観ました。
朝から夜まで。
廃墟から完璧な姿の寺院まで。
濃~い1日でした。