【旅日記】2024年2月29日 パチタン2泊3日 ( プライベート )

どこかに行きたい病が疼いてきたので、ふらっと遊びに行って来ました。
今年は大統領選イヤーなので、旅のテーマは「歴代大統領ゆかりの地」。ジャカルタ、ボゴール、ブリタール、パチタンと4候補あったうち、選んだのは雨季にもっとも相応しくないまさかのパチタン。海辺の町です。なんとなくダラ~っする時間を持ちたかったんですよね。
想定どおり雨にあたったし、そこまでオーシャンな旅ではなかったのですが(笑)、泊まった宿が醸し出すゆる〜い感じに救われた開放的な旅となりました。

2月29日
長男を学校で13:00にピックアップして、そのまま出発。今回もパートナーが運転する自家用車に2泊3日とは思えない量の荷物を積みこんで。ジョグジャカルタ市内を抜け、ジョンブラン洞窟があるウォノサリを抜け、さらに東へ。途中、小腹が空いたのでたまたま通りかかった食堂で軽食 ( あとから知ったのですが、Mie Ayam Bakso Prima Rasaという人気店のようです。パートナーはバッソが柔らかく美味しかったとかで、おかわりしてました )。
パチタンは地理的には東ジャワ州に入ります。西のバトゥカラス、東の果てのGランドと並んでサーフスポットとしてサーファーには知られた場所。“ パチタン ” という名で有名なのは、ワトゥカルン Watukarung とパチタン市内で、この2つのエリアは車で45分ほど離れています。せっかくなら2エリアとも行ってみようということで、まず初日はワトゥカルンへ。海に向かっているはずなのに、車が行く道は車1台しか通れないような、ものすっごい山。椰子の木が覆いかぶさるような景色のなかを進みました。
ワトゥカルンは山と海のあいだのわずかな土地に突然現れる村です。ほんと、すぐそこまで山、そして、想像していたよりももっと村(笑)。チェーン店のコンビニもフライドチキン屋もアイスクリーム屋もない。わたしの目にはとても健全な村に映りました。本当に何にもないようなところに西洋人サーファーがひょこっといてるのが不思議な感じ。マグリブのアザーンが鳴り響くなか、とりあえずチェックインだけ済ませて、急いで海岸へ。この時に見た、夜が始まる気配が香りたつ村の一景がすごく印象に残っています。海岸までは徒歩3分。サンセットの残り香をさらっと楽しんで宿に戻りました。
今夜の宿は、Watukarung Ristu Homestay。情緒ある佇まいの全8室の小さな宿です ( …と言ってもワトゥカルンでは部屋数が多い方 )。プールに面したファミリールーム1泊1室 Rp 420,000 ( 3名分の朝食込み )。閑散期の平日だったので貸切。子どもたちは夜までプールで遊ばせてもらいました。夕食は前々から注文していたGal & Gin Breakfast & Pizzaのピザ。本当はサンセットを見ながらビーチで食べたかったのですが、わたしたちの到着が間に合わず、閑散期なので夜間はビーチには灯り一つないとのことだったので宿にデリバリーしてもらいました。自分用にオーダーしたベジタリアンピザはきのこたっぷり。さすが隠れ外国人ヴィレッジ、ピザのレベル高し。わたしが欲していた、ゆるりだらりとした時間がここにありました。

3月1日 
未明に大雨。朝6:00の時点でもパラパラと降っていたのですが、せっかく早起きしたので海岸を散歩。目を凝らしてしばらく見ていましたが、サーファーはおらず ( 本とか歌から朝から波乗りしているイメージだったので期待していたのですが、残念 )。
子どもたちがプールで遊んでいる隙に大人はゆっくり朝ごはん。ナシゴレン、ミーゴレン、ビーフンゴレンのなかから選ぶことができ、宿の女性が作ってくれました。ホテルのビュッフェもいいですが、こういう手作り朝ごはんも好き。とても美味しかったです。
朝ごはんを食べているあいだに晴れてきたので、9:00すぎにいったんお出かけ。行き先はリバークルーズができるスンガイ・マロン。未明の大雨の影響で水が濁って泥色になってしまってましたが、すごく良かった!両岸には椰子の木が並び、葉の色が水に反映して玉虫色に。私たちが乗ったのは観光用のボートですが、元々はこの辺りに住む人の移動手段としてボートが使われているようで、積荷を積んだ数隻のボートと行き交いました。往復1時間のリバークルーズはあっという間。11:00前に宿に戻り、子どもたちは再びプール遊び。チェックアウト後、車でパチタン市内へ。昼食はパチタン市内近くのレジェンド食堂 Warung Makan Bu Gandos Pacitan にて。パチタン名物のサユール・カラカンやこの店のアイコン料理のマグロの串焼きをいただきました。ちょうどお昼時だったので次から次へと人が来る来る。すごい繁盛店でした。
その後、今夜の宿 Harry’s Ocean House にチェックイン。エアコン付きのファミリールーム ( というか一棟貸し ) はRp 350,000。フランス人女性がオーナーで、ここにだけ西洋人が集まっている異界感とピースフルな感じがすごくいい。こういうサーファーの町特有のちょっとヒッピーで頽廃的な感じがうまい具合に出ている宿です。本当はそのままハンモックで昼寝でもしたかったのですが、子どもたちが出掛けるというので、市内を車でウロウロ。サーフィンしているところを見たかったのでサーフスポットと言われるエリアに行ってみましたが、見当たらず。なぜかビーチに大量にいた牛と馬を見て、市内でアイスクリームを食べ、広場の遊び場で子どもたちを遊ばせるともう夜。夜ごはんはパチタン流のソトを食べ、宿へ戻りました。TVもなく、静かな夜。こういう夜っていいな。

3月2日 
朝、歩いてビーチへ。徒歩5分。流木拾いをしていると、晴れているのに大雨。急いで宿に戻り、8:00まで宿でのんびり。朝食はこのあたりの郷土料理ナシ・ティウル。朝食後はパチタン出身のSBYことインドネシア第6代大統領スシロ・バンバン・ユドヨノの私設博物館SBY ANIミュージアム & ギャラリーへ。正直なところ、どんな人なのか全然知らなかった ( 大統領職を退いた後も現役の政治家です(汗) ) ので、さらっと見てちょっと知れたらいいかなーくらいの軽いノリだったのですが、ものすごいレベルの高い盛りだくさんな展示内容でたっぷり1時間半ほど過ごし、その後、幼少期に住んでいた家も訪れました。それにしても、博物館のセキュリティーの人も家の管理人の人も誰もが本名ではなくニックネームで ” SBYさん ” と呼ぶのが微笑ましい。
お昼ごはんは最後にまた郷土料理ナシ・ティウル。LBI Sego Tiwulという人気の食堂に行ったのですが、めちゃくちゃ不安定な場所にあるザ・食堂で、めちゃくちゃ安い!めちゃくちゃ美味しい!大満足です。
この旅の締めは鍾乳洞ゴン洞窟観光。石灰岩の山が連なる中部ジャワ州のウォノギリ県、ジョグジャカルタ特別州のグヌン・キドゥル県、そしてこの東ジャワ州のパチタン県は “ グヌン・セウ ( 千の山 ) ”という名でユネスコ世界ジオパークに認定されてます。このエリアには無数の洞窟があり、ジョンブラン洞窟とともに人気観光地として双璧をなすのが、このゴア洞窟。土曜日だったので、インドネシア人観光客が大勢来ていました。東南アジアでよくある極彩色のライトアップ、最初は「えぇぇ…」と思っていたのですが、「ライトアップ、アリかも…」と思わせてくる圧倒的ホンモノ感。入り口で同行をお願いした地元ガイドさんによると、1930年代に地元の人が水を求めて山の中に入ったときに発見したそうです。名前の「ゴン」とはガムランの銅鑼なのですが、この洞窟のなかからこの銅鑼の音が聞こえる奇妙な逸話から名付けられたそうです。ゴン洞窟を出て、しばらくすると大雨。家に着くまで、ずーっと降りっぱなしでした。



最初は3泊4日のつもりだったのですが、パートナーに日曜日に緊急の仕事が入ったため、1日短縮したんです。結果的には2泊3日でも十分いろいろ行けたので満足しているし、当初の計画どおりもう1日あればどちらかの宿で1日ひたすらだら~っとできたらそれはそれでよかったかなと思います。閑散期ということもあったのかもしれませんし、ワトゥカランもパチタン市も、アクセスしにくい辺鄙なサーファーの町ということもあるのか、滞在しているサーファーたちは、イェーイ!We are the PARTY PEOPLEという感じではなく、物静かで知的な感じのする人たちだったのも印象的です。


ワトゥカルンやパチタンを歩けば、海辺の町らしいアートが。
ジャワ島では珍しく、このあたりでは普通にタコを食べるらしい ( 食べたかったけど、その日は獲れなかったらしく食べることができず。次回チャンスがあれば食べたい!)。


博物館で勉強したSBYについて、備忘録 ( うろ覚え )。
・マタラム王家につながる家系の父を持つ。
・元陸軍将軍、そこから政界進出。陸軍時代にアメリカでアーミートレーニングに長く参加していたため、流暢な英語を話す。
・インドネシアで初めての直接選挙で60%を集めて、現職だった第5代大統領メガワティ ( スカルノ大統領の長女 ) に勝ち、2004年から2014年の2期10年、第6代大統領に就任。ちなみに、この選挙の時に副大統領候補としてメガワティと組んだのが、2024年選挙でほぼ当確のプラボウォ氏。
・2004年のスマトラ沖地震、2006年ジャワ島中部地震、2010年ムラピ火山噴火など災害指揮を執っている。
・趣味は、音楽 ( 高校生のころはバンドを組んでメインボーカル担当。博物館には彼が歌う歌謡曲が流れている(笑) )、絵画 ( 最近は創作活動に時間を多く割き、量産。博物館の2階では期間限定で最新作の展覧会があった )。
・愛妻家。妻のアニ・ユドヨノもカメラやバティックなど多趣味。
・博物館の横にパチタンの自宅 ( 豪邸 )。普段はパチタンにいないけど、24時間厳重警備。

元陸軍トップで、元大統領で、インドネシアのカーストでは一番上にいる人ですが、こうやって気持ちよさそうな歌声とか「うまいのか?」と感じてしまう絵とかをみると、人間味を感じられて、確かに ” SBYさん ” と呼ぶのがぴったりくる感じに思える ( それがこの博物館の狙いだったとしても )。

これでパチタンのSBYは済。歴代大統領ゆかりの地めぐりはまだ続けます。次は誰かな?